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重症心身障害児 筋緊張が強い場合

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  重症心身障害をもっている子は身体の動きが少ないので変形や拘縮を引き起こしやすい傾向があります。 しかし、一人一人の状態は違っています。小さい頃は筋緊張が低かった子もいますし、小さいころから筋緊張が高かった子もいます。 筋緊張が高い子の中にも伸展が強い子、屈曲が強い子、非対称がが強い子など色々です。 感覚の過敏、覚醒状態の問題、呼吸不全、逆嚥下がある子、てんかんなども筋緊張に影響しています。 そこで一人一人に合わせた対応を考えることが大切だと思います。 重度の子いつも同じような姿勢反応が強くでていることが多いです。例えば最初の絵のように屈曲の強い子はいつも屈曲傾向です。 理学療法士は実は隠れている別の姿勢反応を持っていないのかを根気よく探すということが大切になると思います。重い障害の子であってもその子の中に隠れている別の実力を探そうというわけです。 呼吸を楽にしてみたらどうか、上肢を伸ばしたらどうか、背中を伸ばしたらどうか、脚を伸ばしたらどうか色々試します。体調が安定していない子も多いので長く付き合っていくことで本人の調子を把握することも重要です。これはいいと思ってもその日が特別調子が良かったりということもあります。

脳性麻痺 ジスキネティック型(アテトーゼ型) 運動特徴

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 脳性麻痺ジスキネティック型(アテトーゼ)の運動特徴は不随意運動や非対称性姿勢とともに以下のようなことがあるといわれています。 ①安定性の欠如 ②関節運動の中間位コントロールが困難 ③一度起こした運動方向を途中で変更することが困難 これらは過剰な相反神経抑制により生じます。過剰な相反神経抑制とは主動筋を働かそうとすると拮抗筋の緊張がゼロに近い状態になることです。 例えば肘を曲げる時には上腕二頭筋が主動筋で上腕三頭筋が拮抗筋になります。肘を曲げる運動を途中で止めたり、伸ばす運動に切り替えるには上腕三頭筋の働きが必要です。ジスキネティック型(アテトーゼ型)の方は主動筋を使う時に拮抗筋の働きが極端に弱くなります。これは上腕三頭筋がいつも働かないという状態ではなく、拮抗筋として使えないだけです。上腕三頭筋を主動筋とすることはできますが、その時は上腕二頭筋が働かなくなります。 このような筋肉のコントロールの特徴があるとバランスや上肢の巧緻性に困難が生じます。意図していない運動が生じる不随意運動と同時に意図した運動の際におこる独得の困難さが起きていることを知っておいてください。 これらを改善したり、使いやすい状態を見つける時には関節中間位での体重の負荷刺激を利用して同時収縮を促すことがあります。ジスキネティック型(アテトーゼ型)脳性麻痺の子どもは体重負荷に伴う姿勢安定の経験が不足しやすいです。 こどもリハかわせみ

特別な診断のない運動発達の遅れのある子への相談場面の運動評価(乳児健診後) 地域のPTさんへ④

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 例えば、同じ現在1歳半で歩いていない赤ちゃんでも、その子の運動発達の経過をお母さんから問診するとマイルストーン(里標)の獲得にも色々なパターンがあることがわかります。姿勢観察や他動運動や触診などの評価情報も加えると比較的手早くその子の運動発達の特徴が見えてきます。 ①それまでの運動発達が全体に遅かったパターン 色々な子がいますが、例えばハイハイの獲得が1歳4カ月でつかまり立ちの獲得も1歳4カ月と遅かった。そして、現在1歳半でまだ歩いていませんという子では頭部・体幹の抗重力活動やバランスの発達が遅いのかもしれないと仮説が立てられます。追加する評価の一つ目としてハイハイの時の体幹や股関節の姿勢観察があります。腰椎の前腕が強かったり、股関節の外転が強かったりすると体幹・股関節の低緊張があるかもしれないと推測できます。最後に他動運動や触診で筋緊張の状態を最終確認します。体幹部の抗重力コントロールを向上させるようなホームプログラムを提供します。 ②ハイハイまでは平均的な発達で立位になってから発達が進まないパターン ハイハイを10ヶ月位で獲得し、つかまり立ちもし始めたがその後歩行がはじまらず現在1歳6カ月になったという子では膝関節~足部にかけての部分に何らかの異常があるかもしれないと仮説をたてて確認します。確認するための評価は足部周辺の姿勢観察・他動運動・触診です。場合によっては行動面や感覚面の発達評価加えます。足底の感覚過敏や足周囲の著明な低緊張が見られる場合があります。足底の感覚過敏であれば脱感作のホームプログラムを提供します。足周囲の低緊張が強ければ支持性向上のプログラムを提供します。 まとめ 乳幼児健診後の発達相談場面では赤ちゃんが泣いてしまい実力が発揮できないことも多くあります。そこで、問診で問題点にあたりをつけてからポイントをしぼって姿勢観察と筋緊張検査など必要な神経学的検査で補うと短時間で効果的な支援ができると思います。 こどもリハかわせみ

特別な診断のない運動発達の遅れのある子への相談場面(乳児健診後) 地域のPTさんへ③

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  乳児健診後の個別相談では発達スクリーニングと育児支援の二つの役割が求めらています。 発達スクリーニングは統計的に多くの他の赤ちゃんと同じような発達なのか、少数派なのかを判断します。中には今は判断ができない状態(グレーゾーン)の子どもも多くいます。 育児支援はその子の発達が多数派なのか、少数派に関わらず相談に来た子ども全員に対して行うものです。お母さんと赤ちゃんが共に安定して育児ができるように支援するものです。 その子の発達がかなりゆっくりである事は、人によって程度の差はありますがお母さんにとっては不安を招く事態です。遅れがあることを指摘する必要があるのならば指摘するが、同時に安定して育児ができるように支援するというのは専門職にとって相反する二つの課題があるので難しくなります。 専門職が相談場面をうまく行うための一つのヒントとして「たとえ発達の状態が少数派に属したからといって、そのことが直接に何か不幸な状態とはつながらないという強い信念」があるかもしれません。直接相談場面でお母さんにそれを言って、安心しなさいなどとは言いませんが、専門職が心の中でそのことを強く思っていることは少しお母さんの支えになるかもしれません。 もう一つのヒントとしては専門職がチームであたることです。誰かが指摘して、誰かがサポートするということは有効だと思います。 もう一つのヒントは具体的にやることを助言することです。何かすることがあると不安があっても頑張れる時があります。 こどもリハかわせみ

脳性麻痺 脊柱側弯

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1.脳性麻痺の脊柱側弯についてはわかっていることとわからないことがあります。 わかっている事 ①姿勢不安定・トランスファーが困難・四肢も含めた変形・疼痛・呼吸不全・消化不全などの問題につながる可能性がある ②いわゆる特発性の側弯と脳性麻痺の側弯は違うもの ③重度な側弯は歩行できない子どもに多い ④脳性麻痺の側弯は進行する ⑤対応方法 運動療法・体幹装具・座位保持装置・手術療法がある わかっていない事 ①本当の原因がはっきりとはわかっていない 痙性?筋力低下?成長障害? ②各種治療の効果についてはっきりとわかっていない。 2.アプローチについて理学療法士として思うこと アプローチの方向性は二つあると感じます。一つは筋肉の短縮や関節の拘縮に対して運動性を高めるアプローチです。ストレッチなどがこれにあたります。もうひとつは抗重力的な安定性を高めるアプローチです。体幹装具・座面や背もたれを工夫した座位保持装置などは身体の外側に殻を作って安定させるアプローチです。手術の一つである脊柱固定術は身体の中に安定した脊柱をつくるイメージです。安定性と運動性のどちらも必要ですが、より大事なのは安定性。 こどもリハかわせみ

精神遅滞・自閉症の診断のある方 足の痛みや変形が気になる場合

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精神遅滞や自閉症の方の中にもバランスが悪かったり、筋力がよわかったり、足の使い方場不器用だったりする方がいます。そういう方は大人になって脚に負担がきやすいようです。 脳性まひを持った方に比べて、整形外科医や理学療法士との関わりも少ないことも多く、靴の中にいれるインソールや整形靴など使用さえれていない方もいます。 一例として低緊張の子の中に小さいころから足をつま先を外に向けて立つ癖がついている子がいます。 このような方の中に大人になってからもつま先を外に向けて立つのが普通になっている場合があります。このような脚の向きで歩くと膝や足首に痛みがでたり疲れやすかったりしますい。 このような方には日常の体操を指導したり、靴の中にインソールを使っていただく場合があります。日常の体操の一例は下の絵のように両足と両膝をくっつけて立つというのがあります。内またや体幹の筋力向上に役立ちます。不安定な方は何かにつかまって行ってください。しっかり体幹を起こして立っている必要があるので周りで誰かに見ていてもらって、姿勢を正してもらえると効果があがります。 脚の変形が影響していることもあります。あまりひどい場合は整形外科医の先生がインソールなど装具を処方してくれる場合があります。 インソール 同じ診断名がついている方でも姿勢には色々なタイプの方がおられます。その方に合わせた対応ができるといいと思います。 こどもリハかわせみ  

大人にもある姿勢反射様の姿勢 運動発達と脳障害

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赤ちゃんの非対称性緊張性頸反射様姿勢  (乳児を仰向きに寝かせて首を一方に向けると    顔面側の上下肢が進展し、後頭側が屈曲する反応) 弓道 前回のブログで緊張性の姿勢反射に影響された姿勢は誰でも赤ちゃんの頃は見られると言いました。でも実は大人でも弓道の写真のように顔面側の手を強く伸展させたい時には非対称性緊張性頸反射と似たような姿勢が現れます。 乳児の場合は仰向けに寝ているときに首の方向を変えると非対称性緊張性頸部反射が出現します。大人になると乳児と同じ刺激では出現しません。しかし、大人でもより必要性が高い時には非対称性緊張性頸反射ような姿勢が現れます。 私たちは様々な運動のパターンを脳の中に持っています。幼い頃は運動パターンは決まりきった使い方しかできません。しかし、脳の神経ネットワークが発達すると状況に合わせて様々な運動パターンを柔軟に出現させることができるようになります。これは運動発達の一つの方向性です。いつでも同じ運動ではなく、状況に合わせて適当な運動を選べるようになるのが運動発達の一側面です。 脳に何らかの異変があり運動障害が生じた場合にも運動パターンの柔軟な調整がしにくくなります。回復していくと又運動パターンが多様に変化できるようになる傾向があります。運動発達と運動障害回復は似たようなところがあります。 発達が著しい乳幼児期には障害の有無や程度が判断しにくいのはこのような事も影響しています。 障害と正常は全く別物ではなく、連続性の中にあり、程度の差と考えることもできます。 こどもリハかわせみ