子どもの運動学習 自発性
子どもの運動学習を促す時に自発性が重要だといいます。
なぜ自発性が重要と言われるのでしょうか?
脳は環境によりよく適応するために働きます。
そのために脳の働きは環境の情報を感覚で脳に取り込んで処理をして運動を表出することが基本です。
子どもの頃は処理(運動)の際に利用できる記憶が少ない状態です。処理の際に利用できる記憶を増やすためには、感覚運動のサークルを回す必要があります。自分で環境から情報を得てきて、何かやってみて、結果成功や失敗をすることによって新たな運動記憶が貯蔵されて運動が上手になります。
大人に指示されて新しい運動ができても運動学習にはなりますが、環境から自分で情報を得てくる力が育たないので十分に有効にその運動を使えるようになるのが難しくなります。大人に言われた時にはできるけれど、自分ではやろうとしないという状況になるかもしれません。
子どもの脳は運動だけが未熟ではありません。感覚情報を得たり、それを処理したり、感情と結び付けて記憶したりすることも発達の途上です。そんなわけで子どもの運動学習を促すときには自発性を考えることが重要なのです。
自発的な運動を引き出すためのアイデアは
①環境を子どもにとって興味深いものにすること:感覚情報が得やすく、適度に困難性があり、魅力がある環境を与えること
②子どもが動きだすのを待つこと
③子どもが動き出したら成功への手助けをすること
等があると思います。①②③のどこが苦手かは子どもによって違います。古典的な脳性麻痺をもった子ども(運動に関連する神経領域の損傷だけがある子)の場合は動きの種類が少ないので失敗が多くなりがちです。でも古典的な脳性麻痺をもった子どもというのは、実際には少なくて、①や②にも問題がある子どもが多いように感じています。
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